[Japanese/English]
TIMSAC(TIMe Series Analysis and Control program)は,統計数理研究所で開発された時系列データの解析,予測,制御のための 総合的プログラムパッケージである.オリジナルTIMSAC(TIMSAC-72)は1972年に発表され,その後,TIMSACシリーズとしてTIMSAC-74,TIMSAC-78,TIMSAC-84が Computer Science Monograph に発表された.工業プロセスの最適制御,経済変動の分析等広い分野で実際に利用されている.TIMSACの特徴としては,情報量規準の考え方を用いた時系列解析プログラムであることが挙げられる.TIMSAC-72ではFPE (Final Prediction Error),TIMSAC-74以降ではAIC (Akaike Information Criterion),TIMSAC-78のベイズ型モデルではABIC (Akaike Bayesian Information Criterion)も用いられてる.
一方,Rはフリーな統計処理言語かつ環境である.Rは配列演算を基本に設計されているため多次元配列の扱いに適している上にグラフィック関数も豊富であり,かつFORTRANやCのサブルーチンを簡単に呼び出せるインタフェースを備えている.そこで,FORTRANで書かれているオリジナルプログラムの計算処理機能のみをライブラリ化し,R関数を通して入出力を行い,必要であればその解析結果等をRでグラフィック表示することによりデータ解析を容易にした.
本パッケージの中でも利用者の多い季節調整を行う関数 decomp() は,Shiny を用いて Web アプリケーション RS-Decomp としても提供されている.
なお,バージョン 1.2.8のパッケージに含まれていた七つの関数 armaimp(), lsar2(), ngsmth(), tsmooth(), tvvar(), tvar(), tvspc() は,バージョン 1.3.0では削除した.これらの関数は「FORTRAN77 時系列解析プログラミング」(北川源四郎著/岩波書店)のプログラムをソースとした関数であり,同書を基にした他の関数とともにRパッケージ TSSS として公開している.
timsacパッケージはCRANの拡張パッケージ(Contributed Packages) として登録されているで,Windows, macOSの他のバイナリファイルは こちら のサイトからダウンロードできる. 下記にリンクしたWindows用バイナリファイルとLinux用のソースファイルは,それぞれ Windows11 (R-4.3.1) および Ubuntu 22.04 LTS (R-4.3.1) で動作確認をしたものである
timsacパッケージの概要について知りたい場合には
>
help(timsac)
関数の利用方法については,例えば decomp()
の場合
> help(decomp)
ヘルプページの例題はコピー&ペーストすることによって実行することができる.
また,timsac/doc/
の直下には,関数のモデルや情報量基準についての説明書
timsac_guide_e.pdf (英語)
timsac_guide_j.pdf (日本語)
が提供されている
リファレンスマニュアル timsac-manual.pdf のダウンロードは
こちら
[1] H. Akaike, E. Arahata, T. Ozaki (1975-1976). TIMSAC-74, A Time
series analysis and control program package (1) & (2),
Computer Science Monographs, No.5 &
6, The Institute of Statistical Mathematics, Tokyo.
[2] H. Akaike, G. Kitagawa, E. Arahata, F. Tada (1979). TIMSAC-78,
Computer Science Monographs,
No.11, The Institute of Statistical Mathematics, Tokyo.
[3] H. Akaike, T. Ozaki, M. Ishiguro, Y. Ogata, G. Kitagawa, Y.-H.
Tamura, E. Arahata, K. Katsura, Y. Tamura (1985). TIMSAC-84 Part 1 &
Part 2, Computer Science Monographs,
No.22 & 23, The Institute of Statistical Mathematics,
Tokyo.
[4] H.Akaike and T.Nakagawa (1988).
Statistical Analysis and Control of
Dynamic Systems, Kluwer Academic publishers.
[5] 赤池弘次, 中川東一郎 (2000),
ダイナミックシステムの統計的解析と制御 [新訂版], サイエンス社.
本パッケージに関するご質問やバグ報告等がありましたら ismrp(at).grp.ism.ac.jp 宛お寄せ下さい.